先日、国際交流基金の講演会で来日していたホセ・アントニオ・アブレウ博士が稽古の見学にいらっしゃいました。 代表曲の「武人」や「五色の太鼓」を演奏し、「太鼓を打ってみますか?」とバチを差し出すとアブレウ氏は「プロの人たちがいる前でそんな事はできない」と笑顔で答えました。
音楽は楽しいものですし、華やかでもありますが、その裏には何年もの地味な稽古や下積みがあるものです。 それをよく理解しているアブレウ博士だからこそ簡単に太鼓を触る事をしなかったのではないかと思います。
アブレウ博士は犯罪や貧困などの影から子供たちを守るために恵まれない子供たちに音楽を指導し、善良な市民に育てるための活動を続けてきました。
以下PRAEMIUM IMPERIALEホームページから引用
http://www.praemiumimperiale.org/jp/laureates/grantcontent2006.html
ベネズエラ青少年・児童オーケストラ全国制度財団
ベネズエラの貧困地域の子供たちをクラシック音楽の練習、演奏を通じて教育する財団で、元文化大臣のホセ・アントニオ・アブレウ博士(67歳)が1975年、カラカスのガレージで11人の子供に音楽演奏を指導したことからスタートした。現在は国と民間からの財政支援の下に、25万人の児童・青少年が参加し、計210のオーケストラを擁する全国組織に発展している。 財団は、2歳半以上の子供を公募、無償で楽器を与え、年齢や習得段階に応じて毎日訓練する。14歳以上の優秀な子供には、カラカスの「ベネズエラ全国青少年管弦楽団」のメンバーとなる道を用意し、住居から生活費まで提供する。
ベネズエラは世界有数の石油産出国だが、貧民層が国民の50%を占め、南米一の犯罪多発国でもあり、殺人事件はカラカス首都圏だけで毎週末150件も発生する。こうした環境の中で、アブレウ博士は「子供たちを犯罪と貧困から救い、善良な市民に育てるためには、オーケストラのクラシック音楽が良の手段。音楽で子供の情緒、感受性、協調性、人格が形成され、社会の発展につながる」との信念から、全国的規模で普及活動を進めてきた。
実際、犯罪を重ねて少年院に収容された少年が財団に加わり、クラリネットを通じて更生し、現在はクラリネット教師として財団の子供たちに教えている例もある。また、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコントラバス奏者となった貧民街出身の卒業生もいる。
この活動に賛同したクラウディオ・アバド、サイモン・ラトル、マルタ・アルゲリッチ、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ、ら著名な音楽家が、カラカスに出向いてオーケストラを指導したり、共演したりしている。 同様の試みは他の中南米諸国にも広がり、アブレウ博士の提唱で、来年には「カリブ・ラテンアメリカ青少年交響楽団」が結成される。2008年10月には「ベネズエラ全国青少年管弦楽団」が日本でアルゲリッチと共演する計画も進んでいる。奨励金は楽器購入などに充てる予定。




